专辑简介

矢野沙織の3枚目のリーダー作が早くも届いた。前作同様にNYのアッパー・ウエストにあるライヴ・ハウス“スモーク”を根城に活動する一派を迎えてのバップ路線。今回はマイク・ルドンがハモンド・オルガンで全編を担当したことと、若手随一のトランペッター、ニコラス・ペイトンの参加が注目点だ。冒頭で、矢野が最も影響を受けたチャーリー・パーカーの難曲にして名演「ドナ・リー」のアドリブ完全コピーを、ニコラスと二人一糸乱れぬ演奏で披露しており、高校生の女の子とは思えないテクニックに感嘆。オリジナルの「Sakura Stamp」のメロディに、矢野の中に息づいている豊かな音楽性を見た。ルドンの左手ベースとジョー・ファンズワースのタイトなドラミングに支えられて、バップ、ブルースを意識して続けてきたであろうここ一年の研鑽がきちんと作品に封じ込められている。今作でビ・バップ三部作の完結とのこと。今後どのように自己の音楽性を展開していくのか期待される。 (松永誠一郎) --- 2005年04月号