生バンド＆フェンダーローズが繰り広げるムーディなR&Bサウンドと、ソウルフルなヴォーカルで人気の高い椎名純平が、1970年代のヒット曲を中心に取り上げたカヴァーアルバムを発表。TWIGYの軽快なラップ入りファンキーナンバー（ゴダイゴ）、ダイナミックな歌声でハイテンションにキメる（沢田研二）など、バラエティ豊かなサウンドアプローチでワイルドな魅力をアピール。大人のムードたっぷりに歌う椎名林檎とのデュエット（ロバータ・フラック＆ダニー・ハザウェイ）では、兄妹初レコーディングとは思えないほど息の合ったコンビネーションを披露する。（武村貴世子） 内容（「CDジャーナル」データベースより） 2000年デビューの男性シンガー。2002年の初作品は、70~80年代の楽曲のカヴァー集。実妹の椎名林檎、東京スカパラダイスオーケストラ、TWIGYらをフィーチャーしながら、ファンキーかつソウルフルな仕上がりを見せる。原曲のよさを理解したアレンジだ。 椎名自身のルーツともいえる70年代、80年代のヒット・チューン中心としたカヴァー・アルバムなのだが、はっきりいってすべてのヴァージョンが原曲よりも素晴らしい。凄腕ラッパーTWIGYをフィーチャー、強度の高いファンク・チューンに生まれ変わった「モンキー・マジック」、椎名の厚みのある声が質の原曲の魅力を最大限に引き出す「いつか晴れた日に」、MISIAなどのプロデュースで知られる佐々木潤のアレンジによりオシャレなソウル・チューンに仕上がった「Yes-No」、東京スカパラダイスオーケストラの3管ブラス・セッションとラテン系なヴォーカリゼーションが強烈なインパクトを残す「勝手にしやがれ」、そして、初の兄妹デュエットが実現した「WHERE IS THE LOVE」。ディープなブラック・ミュージックのみならず、歌謡曲から70年代のニューミュージックを取りあげたところも、椎名の意外で奥深い音楽的側面が垣間見られるようで、興味深い。ぜひ、第2弾をお願いします。 (森朋之) --- 2002年06月号