いやんなるほど清々しい歌声がふとした情景描写を朗々と歌い上げてしまうのだが,そこにはいつも男女関係のもつれや結末がある。因幡の新作はいつものように私小説フォーク的なものを引きずりながら,歌に深みをあたえようと積極的な面をかいま見せる。