专辑简介

東野（あずまの）さんのデビュー作「君とピアノと」、第2弾「君は僕の勇気」に続く第3弾は「君だから」。すべての曲に「君」という言葉が入っている。もしかしたら、これは彼の「三部作」だったのかもしれないと今更ながらに回想している。どの曲もお気に入りだが、第3弾はデビュー曲に勝らずとも劣らずの出来栄えだ。対照的なテンポとイメージの曲が一枚のシングルで味わえるのは嬉しい。ジャケット写真の彼の素顔はなんともいえず初々しい。純真さが滲み出ている。

前半は「君だから」。落ち着いた、ゆったりとしたテンポのなかで、愛しい女性への想いを募らせる切ない男心が、透き通る声で歌い上げられる。「受話器を置く切なさに負けそうで〜」や、「次のチケットは片道しかいらない〜」など、なかなかのセンテンス（歌詞すべてがよい）。まさに「君だから」の世界である。後半は「独り主義」。一転してアップテンポな調子となり心が自然と躍動する。「始めよう僕にできることはすべて〜」。力強いメッセージだ。二曲ともわたしが大学生のときに聴いていたものだが、今でも新鮮な感覚を与えてくれるのはなんとも不思議だ。今の若い世代はまず知らない曲だろうが、機会があれば一度は聞いて欲しい。このレビューがその契機になることを密かに願いたい（しかし音楽レビューを書くのは難しいですね）。