06年のデビュー・アルバム「魂/Kon」始め、これまで5枚のアルバムを世に放ち、多数の賞を受賞し、その圧倒的な歌唱力でJazz界において唯一無二の存在になりつつある、沖縄出身のJazzヴォーカリスト安富祖貴子。 前作「The Blues」において、「ブルーズ」をテーマに、そのソウルフルなヴォーカルを前面に打ち出し、原点回帰を果たした安富祖貴子。今作では「日本のブルース」をテーマに、エディ藩の作曲による「横浜ホンキートンク・ブルース」、阿木燿子と宇崎竜童のコンビによる「沖縄ベイ・ブルース」、青江三奈による「恍惚のブルース」、淡谷のり子による「別れのブルース」といった曲を披露。脇を固めるのは関根敏行(p)、大隅寿男(ds)、佐瀬正(b)と現在、多くのツアーに同行している気心知れるメンバーを始め、鈴木央紹(ts)、大隅卓也(as)、馬場孝喜(gt)と豪華メンバーが参加している。 ややもすると"歌謡曲""演歌"に陥りかねない楽曲群を、関根敏行の秀逸なアレンジを含め、バックの演奏陣によって、見事にジャズの世界に築き上げられている。そこに覆い被さる安富祖貴子のボーカルは、その多くが日本語で歌われているためか、より熱くディープに、そしてストレートに響いてくる作品となった。